徒然なるままに。

徒然なるままに日々のこと。なんちゃって教員の備忘録。

研究メモ3 文献より3 「アイデアからリサーチクエスチョン」について

ウヴェ・フリック , 鈴木 聡志 訳『質的研究のデザイン (SAGE質的研究キット) 』,2015. 第2章 「アイデアからリサーチクエスチョン」について

 

随分と間が空きましたが、読み進めている本の2章の話。自分が進めている研究については、リサーチクエスチョンを明確にもって進めているつもりだが、参考のために第2章の内容も整理。

 

まずこの章では、研究のアイディアについて代表的な研究者の実例を用いて紹介されている。どの研究も、個人的な体験がもとになって関心が生み出されていることがわかる。自分も所属校での濃密な経験がもとになって、研究のアイディアが生まれていることは間違いない。どれだけ日々にアンテナをもち、「なぜ?」という問いをもち続けることは、研究の分野とか実践のレベルを越えて大切なのだと思う。

 

アイディアからプロジェクトを展開して、リサーチクエスチョンに練り上げる段階を第二段階として説明している。この第二段階では研究視覚(reserch perspectives)が必要と言っている。

「研究視覚って何だっけ?」と1章を読み返すと、ようするにデータ収集の方法とか、理論的立場とか、アプローチの仕方とか、記述の仕方などで、どんなやり方をとるか、という話らしい。どんな研究視覚を取るかで、研究そのものも変わってくるし、その逆で研究の目的によって研究視覚の選び方も変わるだろう。

自分が何を調べたいのか、リサーチクエスチョンを明確にしておくことが大事だという。そりゃそうだろう。研究なんだから。

 

「しかしながら質的研究やグラウンデッド・セオリーの初心者にとって、研究に答えるためのガイドラインとして明確なリサーチクエスチョンをもつことは、十分役立つと思われる。かなり漠然としたリサーチクエスチョンで始まる場合でさえ、最後にはプロジェクトの中で何度も洗練され、定式化され、時には焦点化し直されるだろう(より詳細な説明は、Flick2006,Chap.9 参照)。」 P29より。

 

 大学院での勉強を始める前、研究計画書を作成する上で読んだ本に「研究はテーマを決めたら半分、研究の目的を達成しているようなもの」って書いていたような、書いていなかったような…。

 

 質的研究だからといって場当たりにやっていいわけじゃないよ、漠然としたリサーチクエスチョンでも、焦点化できるように発展させて研究視覚を定めていこうぜ。計画もちゃんとしろよ、認識論、理論、方法論をアップデートしろよ、寝る前に歯磨けよ(うそ。)っていうお話かな。

  もう研究を進めてしまっている自分にとっては、分かっている話だけど、学んだことを整理する意味では有益だった章でした。