徒然なるままに。

徒然なるままに日々のこと。なんちゃって教員の備忘録。

研究メモ② 文献より2  質的研究と量的研究について

ウヴェ・フリック , 鈴木 聡志 訳『質的研究のデザイン (SAGE質的研究キット) 』,2015.

の第一章の続き。

 

質的研究か量的研究かってよく議論されるが、どっちが正しいとか、スゴいってことじゃないと思う。どっちも大事だし、研究の考え方(認識論ていうの?)や研究対象に応じて使い分ければ良いのではないか、もしくは補完しあえないのかと。

 

そんな疑問から抱井 尚子,『混合研究法入門: 質と量による統合のアート』 ,2015.なんて本も昨年度読んだが、今読み進めている本にも、分かりやすく両者の研究について述べてあった。

そんで第一章の続きで関心をもったところから。

 

 「質的研究と量的研究の関係に関しても、さまざまな立場が見出せる。まず、この分割された両サイドにおいて、他のアプローチの明確な拒否という立場がある。」(p.9)

 

 質的研究の特徴をよりわかりやすくするために量的研究を対比させるのが基本みたい。んでもって質的研究の存在自体を無視、拒否する量的研究者の方々多くいるとのこと・・・( ;∀;)。

  だけど評価研究のような領域では、折衷主義が特徴としてある!それで質的研究と量的研究の組み合わせについてハマーズレイ(Hammersley,1996.)やブライマン(Bryman,1992)等を紹介されてる。特にブライマンの質的研究と量的研究のの統合する11のやり方は読んでいて面白かった。

  統合することによって、お互いに補完することもあれば、その逆もあり、また全体像をあたえたり、片方の知見を解釈の促進する場合もある。また研究過程の異なる段階で使うなど。統合するといってもいろんな方法があることが学べた。

 

 著者が述べてたのは、二つの研究を結合させることが、将来の社会科学研究の方向性であるとか、質的研究の独自性に見切りをつけるようなことではないということ。

 そして、質的研究は一つの理論プログラムに基づいているのではなく、いくつかの理論的背景に頼っていること(大きく分けて実証主義構成主義)が、とりあえず分かった。

 二つの研究方法を統合させるにしても、どうそれを統合させるか、もしくは補ったり、解釈させるのか、まず自分自身がどういう認識や考え方で研究対象や研究分野に向かい合うかが前提になるのだと思った次第。

 

 そしてここまで読んで、質的研究が対象との関わりをもつことや、研究対象者に新たな洞察をもたらすこと。そして、その実践によって世界の変容をもたらす(デカい 笑!)ってところが、現場教員ならではの強みとして生かせるのではないかと勝手に思った次第。