徒然なるままに。

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研究メモ② 文献より1 質的研究を探る旅へ。

研究メモ② 文献より1

『SAGE質的研究キット1 質的研究のデザイン』 ウヴェ・フリック監修 第一章より

 

 大学院で質的研究という言葉を沢山耳にしてきた。そして、自身の研究も質的研究にあたる。(多分。)そんでもって、じゃあ質的研究とは何か。interviewしながら共にワイワイすることか、フィールドに入り込んで思うままに記述することか、ナラティブな感じなのか、ってナラティブって何かなのさ、ようするに量的研究じゃなけりゃ質的研究になんのか。

 などと授業受けたり、友と話したりする度に突っ込みを入れたくなる日々を過ごし、結局自分でちゃんと本読んで(読んだつもり、分かったつもりにならずに)理解すること、自分なりに定義することが大事だろ、と突っ込み返しをしたところ、ある先生より上記の文献を薦められて手に取りました。

 以下、まずは苦労して読んだ第一章のメモ。

※ 以下は筆者の極めて個人的な解釈の表現やメモ書きでしかない。

 

〇第一章前半

 

デンジンとリンカンさんが、当面こうなんでいこうようという定義をしている。

「質的研究ってさ。研究する人もその状況に入れちゃうんだよ。

 フィールドノートとったり、いんたびゅーしたり、会話したり、写真撮ったり、記録撮ったりするじゃない。そうすると世界が見えてくるよね。さらに、そのことで、その研究対象に参加してる人がどんな意味を、そこに持ってるか理解したり解釈したりしようとすること、それを意味するんだよね」

  ふーん・・・。

 

かなりの質的研究が解釈的アプローチ取っているが、認識論と方法論のレベルで違う。

(それでいいんかい・・・(-_-;))

要するにデンジンとリンカンさんの定義は、定式化することの難しさを表してる。

 

〇質的研究の増殖増殖って・・。他に良い翻訳なかったのかな。)

社会学、教育学、心理学、健康科学…。でも、質的研究とは何かというパラダイム的な核心の発展してない。

イギリス、アメリカ、ドイツ、それぞれに違いがみられる。

学問も異なったら、異なる言説になってる。

領域特異的な言説の多様性が大きくなっている。例 健康科学、経営学 評価におけるかなり限定的な質的研究

 
〇基本原理としての適合性(appropriateness)
 質的研究の発展は3つのしかたで適合性の原理に結びつく。
 ①初期のエスノグラフィーの方法が、研究者たちの他者への関心に満たされていた。
 例
・非西洋文化と研究者の西洋文明との違いを理解すること
・比較が比較アプローチに拡張。後にはシカゴ学派のような研究者自身の属する文化の特殊な部分を理解し記述する応用
・異なる発達段階における子供の発達と思考の理解への関心から研究方法を発展させたピアジェもその例
・研究で発見された問題の特徴から生じた。そうした研究に直ぐ適用できる、発展した方法論の欠如から生じた
 
②1960-70 質的研究ルネサンス
確立された方法論とそれを使ってはうまく研究できない問題とのギャップから。
心理学とか社会学とかも、実際は重要だが小規模で理解しにくい問題を掴み損ねていた。で、そういうことがますます増える。そんな経緯が影響してるんだって。
 
③経営から評価までの事例全てで、諸事例に適する質的研究をもとうという要求に促されて、方法論上の特定の言説が発達してきた
 
〇学問としての質的研究、応用という文脈置ける質的研究
質的研究はときに研究目的は研究対象を変化させることであったり、意味のある知識を生み出すことだったりする。
 
〇道徳的言説としての質的研究
研究者の「実践が世界を返還する」ことをデンジンとリンカンは強調
①参与観察とか個人史インタビューとかで、そこに参加してる。新たな洞察をもたらす。中立に振る舞ってるんじゃない。
 
②世界を変えることに関わるべき
「我々は誰の側にいるのか?」(Becker,1967)
質的研究は明らかに政治的、その実践によって世界の変容を目指している。
 

 

続く。